トップページ > コラム:地場薬局の未来「薬局の隠された機能」

薬剤師は景気の好不調の波を受けにくい人気の業種です。しかし、人生の多くの時間を費やすわけですから、やはり、よりよい処遇・よりよい人間関係・よりよい職場環境を求めたいものです。一度しかない人生です。ユーザーのみなさまが、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

コラム:地場薬局の未来「薬局の隠された機能」

処方せん調剤やOTC医薬品の販売など、地域の健康問題に貢献できる薬局として、日本薬剤師会が制定し、都道府県薬剤師会が認定する「基準薬局制度」があります。

責任を持って処方せんを行う、医療提供施設としての適切な体制整備など31項目の詳細な基準を設け、それに合致する薬局を認定する仕組みです。薬局店頭にサイン看板やポスターが貼ってあるので、目にする機会も多いと思います。

現在、基準薬局は全国で1万6000店舗、薬剤師会会員薬局の約30%が認定されています。

しかし、本来の趣旨はともかく、地域生活者に認識されているかどうか、はなはだ心許ないと言えます。薬局として一定のレベルにあることを判断する材料にはなり得ても、調剤やOTC医薬品購入目的以外で来局する生活者はどの程度いるのでしょうか。

また、都道府県や市町村レベルの薬剤師会が独自に制定している「健康介護まちかど相談薬局」もあります。これは介護保険制定後に薬局が介護保険の利用方法、介護サービスを受けようとする時のその内容、様々な介護サービスに関する市町村窓口や苦情相談を受け付けている窓口を紹介し、適切な介護サービスを受けられるよう、お手伝いをする薬局であることを宣言したものです。

薬局の店頭が市民の立ち寄りやすい相談所となって、生活者に役立つサービスを提供できるならば、地域の福祉力を高める役割を果たすことができ、薬局に本来備わっている幅広い機能が医療・保健・福祉の広い分野で受け入れられます。

そして、そのことが薬局の活件化を促すことになるとの趣旨からスタートした制度です。

さらに、2006年の医療法改正に伴う薬事法改正で薬事法第8条の2として、新たに「薬局機能情報提供制度」に関する規定が設けられました。薬局の管理・運営等に関する基本情報のほか、アクセス、サービスの内容、業務内容等を都道府県に届け出、住民はいつでも閲覧できる仕組みになっています。

このように見てみると、薬局機能を地域生活者にアピールする環境はかなり整ってきたといえます。

しかし、制度が整っても運用面では機能していないことが多いのです。認定されただけで満足してしまう薬局が多いこともありますが、何よりも生活者にとって“気軽に相談できる場所”であることの認識が薬局側に希薄なのではないでしょうか。

薬局には、病院や診療所等の医療機関にはない優れた点が多々存在しています。医療機関を受診する時のように「予約がいらない」「気軽に入っていける」「相談はタダ」「開いている時間が長い」「すぐに薬剤師に会える」。

通常、患者が医師に気軽に相談できる機会はまずないといっていいです。しかし薬局なら、いつでも無料で専門家の話を聞くことができます。アメリカの薬剤師が患者から信頼されている理由のひとつも、このような利点が広く理解されているからです。

現代ではあらゆる情報がネットで検索でき、患者自身も様々な情報を入手できるようになりました。しかし、それは断片であったり、自分に都合のよい情報だけを選んだり、時には本人に当てはまらないこともあります。近所の知り合いからの情報を鵜呑みにすることもあります。

それらの情報を整理して的確にアドバイスできる身近な存在が薬局なのです。

ただし、そのためには人間の身体の仕組みと病気の仕組みを、ある程度理解しておくことが必要となります。医師ほどの専門的な知識でなくとも、少なくとも素人以上の知識を持っておくことでアドバイスの内容が格段に違ってくるはずです。

参考になさってください。

>>>今月の薬剤師転職サイト比較/口コミ人気ランキングはこちら

目次

トップページ
薬剤師/転職・求人サイト比較
生き残る薬剤師とは?
丸分かり!薬剤師
薬剤師の転職に関するアドバイス
薬剤師に関する基礎知識
病院における薬剤師の役割
薬剤師とセルフメディケーション
薬剤師と地域医療
薬剤師を取り巻く環境
地場薬局の未来
薬剤師関連ニュース

口コミを投稿する